父の見ている幻覚
頭の中で見ていることと、現実との、違いを認知できなくなっている父です。
もう随分昔に亡くなった母親のことを一ヶ月前に部屋で話しているのを見た、と言います。
それに「俺はおふくろに会うのを楽しみにして、実家に行こうとしていたのに。死んだわけない。俺だけ知らないはずがない。」と言います。
おばあさんが馬小屋に縄をかけて首を吊って死んだことをずっと悔やんでいたのに。父はもう忘れてしまったようです。
でも、死が近づいているのだから。
それは正しい時間の過ぎ方なのでしょう。忘れるということが。
父は以前から話していました。
人は死ぬのが近くなると忘れる、忘れたほうが死ぬ時に楽になれるからなんだ、と。
話していたように、父は死の準備支度をしているのかもしれません。
父は私に怒ったようでしたが、以前のように暴れたりはしませんでした。
歩いているのが不思議なくらい、弱々しい父ですし。
それでも死にたくないと思ってくれているようです。
食べようとします。
食べ物を隠すように持ち歩いたりもしています。
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