七輪お姉さん

日々のつぶやき

父との時間

最近、母との怒鳴り合いで父が興奮していますが。
私は父にもあるプライドを傷つけない話し方、言葉、態度で一日接しておりました。
父は穏やかさを取り戻して落ち着いております。


「早く寝ろなんて言わないから、のんびりしていていいのよ〜」と言いながら父の背中をそっと撫でてあげたり。
父の好きな赤飯と味噌味のホルモンを温めてあげたり。
父の好きなリンゴを歩いて買ってきてあげたり。


認知症の人がね。
何も話すことができないようになったときでも。
何もできなくなってしまったときでも。
心は生きているんです。感情があるんです。
何も反応できなくなっていても、感じているんです。
それを私は理解しました。


父にも真面目に穏やかにそういう話もしています。
「父さんの病気はね、頭が悪いからなるんじゃないんだよ?
 むしろ頭を使って真面目に考える人のほうがなりやすいっても言われてるし。
 父さんの病気はね、記憶が消えるの。ポンッて、なくなるの、ちょいちょいね。
 だから、父さんは私のいうことをちゃんとわかってるの、理解してるのよ。
 わかってないんじゃないの、わかってくれてるの。
 ただね、その記憶がそのまままるごと、パッと、なくなっちゃうの。
 でもね。心がちゃんとあるの。ひどいことを言われれば傷つくし、不安になったりするの。
 ちゃんとね、感じているの、父さんは。」


認知症の人は悪く言われることが多いですが、原因はあるんです。
その人の中に、そうなるきっかけのようなものはあるんです。
時には妄想でしかなくても、その妄想も何かのきっかけ、スイッチはあると思っています。
優しくしてもらうと落ち着くのは、安心できているときだと思います。


理屈通りや、簡単にはいかないこともあっても。
暴れる、暴言を吐く、そうなる時にはね、その人は傷ついている。
何かに傷ついている。
私はそういう気持ちで接しています。今は、笑。


さっき、父に優しい言葉をかけておりました。
父が「おまえだけだ。俺のことを気にかけてくれるのは」と今日は何度か言っているので。
「父さん。
 それはね。
 父さんの命が長いわけじゃないって思ってるからだよ。
 父さんがなくなった時にね。
 ああ、あんなひどいこと、言わなきゃよかった、とか
 ああ、優しくしてあげたらよかったのに、って
 後悔するのがわかっている種を撒きたくないからなんだよね。」
父は「そりゃそうだ」と頷いていました。


そう。シンプルです。
道徳心とかそんな大層なものではなくて。
父との時間、限りのある時間、優しくしてあげたいんです。
できることなんてささいなものです。
してあげられないことのほうが多いことでしょう。