七輪お姉さん

日々のつぶやき

亡くなる前は

父が亡くなったら、楽になるのだろうと漠然と思っていました。
いつも父の心配をして、寝ることもままならず、家族の間に入って父を庇い、家のことと仕事、私の役割が多い生活でした。
父が亡くなるまで、優しくしてあげたい。頑張りたい。
何度も、やれる、やれない、の間を揺れながらそう思っていました。


父が亡くなって。
楽になったのかもしれませんね。
でもそれがわからないんです。
楽になった、と、感じる心がないんです。
寂しいですね。寂しいです。
いつも私を頼って私のことを探していた父がいなくなりました。
もう私がお父さんにしてあげられること、ほんの少ししかないんだ。
段々してあげられることがなくなっていって、思い出してあげることしかなくなるのかもしれない。


もっと、手を焼いてあげたらよかったね。
お父さん。
お父さんは病気のせいで暴力やひどい言葉で私を傷つけたけれど、そういう症状が出ないときのお父さんは優しくて可愛いひとでした。
とても優しい、可愛いひとでした。


認知症になって、ついさっきのことも忘れてしまうようになっていても。
最後まで私のことを覚えていて、あんなに強く私の手を握った。
演歌を歌いながら二階の自分の部屋に歩いて行ったお父さん。


お父さん。
楽になれたなんて思えないんだ。
寂しいよ。