父は不安になって
昨夜は仕事に行かないで側にいてほしがりました。
仕事に行くまで手を握って話相手になって慰めていました。
父の体はとても弱くなっていますがまだ私の側にいたくて死にたくないと思って泣いていました。
「おまえにだけ迷惑かけて悪いな」と小さな声でつぶやいたり。
父は泣いていました。
今日も不安そうに私を探します。
そして「俺はわらしのように、さゆこねぇがな、さゆはやぐかえってこねぇがなって、おまえのことばかり待ってる」とつぶやいていました。
残念なことです。
もし、母が優しくしてあげられていたらこんなにも私ばかりを頼ったりしなかったでしょう。
不憫でなりません。
それでも、母も相変わらず大声できつい口調で話したり怒鳴ったりしていますが、夜、父が何度も家の中を徘徊して不安になっている時にはいつもよりは穏やかな態度をとってくれています。
また、父はバナナくらいしか食べられなくなりました。
筋肉がどんどんなくなっていくのでとてもとても細い手足になりました。
「大丈夫 お父さん
寝たまんま、もう、動くチカラもなくなったらお迎えがくるんだよ
動けるうちは大丈夫
話せるうちは大丈夫
まだお迎えはこないから大丈夫だよ」
私がそう話すと父は頷きながら小さく切ったバナナを口にしていました。
私の胸のうちは吹雪みたいに吹き荒れています。
静かに、穏やかに、優しく、ほほえみますが。
心の中は悲しさや思い出や感謝でいっぱい、みんな混ぜこぜになって吹き荒れています。
父の世話をしているのは私ですが、父に一日でも長く生きていてほしいと思っているのも私です。母や妹が突き放すような態度をとるのを見る度に不憫で胸がいっぱいになります。
「あんなに殴られたのに、なんでそんなにしてあげられるの」と妹は私をあきれたように苦々しい気持ちを溢れさせながら言います。
「もう、死んでしまうのがわかっているからだよ」とだけ言葉にしました。
色々な沢山の想いがありますがそれは私の気持ちです。
それを母や妹に押し付けることはしません。
母には母の、妹には妹の、気持ちがあります。
私は二人には自由にしてほしい気持ちもあります。
私一人だけで最後まで父の面倒を見てもいいと思っています。
だから二人には感謝をしています。
二人は父を嫌っているのです、私だけに押し付けていくことだってできるんです。
なのに二人は私のことを心配して、助けてくれています。
私が疲れていれば眠らせてあげようとJちゃんの散歩をしてくれたり。
父に薬を飲ませてくれたり。
助けてもらっています。
このブログへのコメントは muragonにログインするか、
SNSアカウントを使用してください。